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このコーナーは「ごはんだいすきの日記」より抜粋して加筆修正したものを掲載しています。


1月9日(水)

  P/Aをやる気にさせるためにこんな方法はどうだろう?という給料体系

一般的にパート・アルバイトの時給は一定の期間、例えば働き始めてから何ヶ月目だとか通算勤労時間が何時間に達したらとかいう条件をつけてあげられていく。ある場合は最初の一ヶ月程度は試用期間などを定めて低い時給をつける場合もある。

自分の能力に対して時給が上昇することでアルバイト本人の働く意識を刺激することが目的だ。雇用者にしてみればアルバイトの能力が向上しその分能率が上がっているならば給与を上げてもペイする。 ところが現実問題として能力と効率は逓減する。入店当時には身に着ける仕事一つ一つが効率の上昇に直結する。

その後一人前になるまで効率は上がっていくだろうが一定の能力を身につけた後、さらにその能力と効率があがることは難しい。その様子をグラフに表せば最初はその角度が急だが徐々になだらかなカーブを描き最終的には増加は0に近くなる。

一方で働く意識を刺激することを給与のアップの目的であるとすれば、一定の期間を経た後少しなりとも給与を増加させる必要が出てくる。短期ならばさほど問題は無いがP/Aのモチベーションを高く保つには給与の上昇という手以外の要素が重要になってくる。

この問題をアルバイトのレベルによってAクルー・Bクルーなどクラス分けし、次のクラスに移るために一定の条件を満たすなど給与階層とその能力が連動する枠をつける方法はマクドナルド等のファーストフードでよく採用されている。 それに対してこういう方法はどうだろう。当然一つの店舗の中には入店したばかりのビギナーからすでに何年も働いているベテランもいる。彼らの時給を例えば700円均一とし、その後も上昇はしない。これでは時給を上げる目的であるやる気の刺激も能力に応じた報酬でもないように見える。

からくりはその後だ。仮にこの店舗が一般的な給与形態をとっていた場合に平均時給が800円だったとしよう。ここでは分かりやすく考えるために時給700円の初心者アルバイトが5人、自由900円のベテランアルバイトが5人の店舗であると仮定する。ここでは簡単にするために休日・夜間手当てなどは省いて考える。実際には夜10時以降の労働には時給の25%手当をつける決まりがある。全員が一月に同じ時間入店していた場合平均時給は800円となる。

仮に全員が月に100時間ずつ入店していたとすれば、その月の人件費は80万円になる。同じ計算で先ほどの時給を700円均一にした場合、人件費は単純に計算して70万円である。つまり二つのケースでは人件費に月間10万円の差が生まれる。時給800円のケースが売上と利益に対して適正な人件費だとすれば700円のケースでは10万円が適正に支払われていないことになる。

そこで、この余った部分を一定期間プールして再配分するのだ。名目はボーナスである。1月・4月・7月・10月の年4回、つまり3ヶ月に一度プールされた30万円を振り分ける。平均3万円のボーナスとなる。ただしこれはあくまで平均である。ボーナスのボリュームを決めるパラメータは次のとおりだ。

A群{「勤続年数」「作業能力」「貢献度」「接客態度」「勤務時間の融通性」「その他付随の能力」} ・ 「3ヶ月の勤務時間」

この支給方法はいくつかの狙いがある。

1つは3ヶ月ごとに支給されるボーナスによって勤続した長さのみによってむやみに給与が上がらない点。勤続年数をボーナスに考慮しながら実際の店への貢献度、能率に即した給与配分が出来る。

2つ目は3ヶ月ごとの評価を給与に盛り込める点。つまり給与は時間とともに上がり続けるものでなく自分の努力により獲得するものであることを意識付けられる。その為にも評価する内容を明確にして、本人へ伝えるべきである。この際先ほどのパラメータの設定が公平性を保つ鍵になる。

3つ目に3ヶ月ごとに一人一人と面談する機会を作れることである。評価出来る点は何なのか、何が足りないのか、次に期待するのは能力なのかを明確に示せる。 全体としてこの方法のメリットは人件費のむやみな上昇を防ぎながらモチベーションを高める機会を作れる点だ。加えて人件費を固定費ではなく変動費化できる。つまりその3ヶ月の業績に応じてボーナス全体のボリュームを決められるからだ。

他にメリットを挙げれば、給与を1円単位で調整できる点等。また、3ヶ月は一般的にアルバイトが仕事を覚えある程度の作業をこなせるようになるのにほぼ対応した期間と言える。仮に入店後まもなくやめた場合にはボーナスの支出が減る。

この考え方は月刊誌「飲食店経営」で以前に見たものだ。手元にもともとの資料が無いため、説明の足りない部分や自分で付け足した部分もあると思うが面白い考え方だ。

ただし、こういう給与体系が課税などの点で制度上可能なのかどうかは分からない。しかし、考えてみればサラリーマンの給与にしても年2・3回と分けられているだけで同じことだ。加えれば退職金に対しても毎月の積み立て(プール)と言えなくも無い。

近年退職金を従来どおりにもらうか、退職金を減額またはなくす代わりに毎月の給与に加える制度も企業によっては実施され始めている。年功序列、終身雇用という考え方がこれからも続く保障がなく、会社自体の継続すらも絶対とはいえないとなれば、こうした動きはますます進む可能性は大きい。

 
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