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このコーナーは「ごはんだいすきの日記」より抜粋して加筆修正したものを掲載しています。


1月8日(火)

夜中にふと目が覚めてボーっとしている間に、ふと前職の仕事のことを考えていた。

肉体的にも精神的にもとてもハードだったけれども自分なりに楽しんでいたんだなと思う。当時毎日のようにコスト計算を無意識にやっていた。とてもいい経験だったと思うし、そうして得たスキルを忘れないようにするための記録。

1日13万円前後の売り上げの店の月商は400万。このクラスの店舗なら何時から何時に約何人のどんな役割の人員が必要で、店長の入店時間を考慮にいれつつパートのみの労働時間は・・・8−13 9−14 9−14 17−21 18−23 = 5+5+5+4+5=24時間 店長の入店時間が11−23=12 自給は750円でスタートして平均自給800円。800×24=19200円 ということは人時売上高は3611円 人件費率は14.7%

これに店長の休日、労働時間的なロスを考慮してパートのみの人件費は売り上げの約2割。地方の店舗なら駐車場をいくらか確保しつつ地代家賃は20万ほど。店舗を運営するのに掛かる最も大きな費用は原材料費を除くとこの人件費だから、利益をより多く得ようとすれば方法は2つ。費用を削減するか売り上げを上げるかだ。人件費とは平均時給×総労働時間から求められる。

とはいえ時給は原則としてマンパワーに応じて支払われているものとすればその低下は効率の低下を意味するし、無理に総労働時間を削ることは商品の品質低下につながる恐れもあるし緊急の事態やチャンスに対して対応力が落ちる。費用を一定としながらその質を上げるためのパート教育を継続しつつ余分な費用である廃棄ロスを減少させることが費用に関しての主な対策。

一方利益を確保するもう一つの柱である売り上げの上昇はすなわち一つの商品にかかるコストを下げることにつながる。つまり一つの店舗に対して毎日一定の人事シフトが組まれているならばかかる費用は一定である。その経費に対して生産が増えれば効率が上がることに等しい。一つの店舗が処理する能力を超える、すなわちキャパシティーを超えるようになった場合人員を増加させ、店舗のキャパシティーを拡大させるステップへ進む。

しかしキャパシティーを得た後再び売り上げがそれに見合う水準に達しない場合パワーオーバーの状態となり店舗はそのコストを維持できない。 それを防ぐためにその店舗および多店舗総合の季節指数を把握しながら売上の予測をすることは重要だ。この季節指数とはすなわち季節による売り上げの変動を年間の平均売上で割ったものである。つまり年間の平均売上よりもその月の売上が多ければその月の季節指数は100を越え、下回れば100より低くなる。 これにより、ある月の月商が確定すれば翌月・翌翌月の月商も予測できる。経営者はこの予測値を参考にしながら適性なシフトを作成し無理・無駄のない体制を整えるべきである。

規模の経済性が有効に働くパターンを発見し維持することが望ましい。忘れてはいけないのは、売上を上げることは目的ではなく、あくまでその手段であるということだ。規模に見合わない場合は縮小せざるを得ない。

しかし、より大きな利益を目指すならば売上向上の策を練りながら規模を拡大させることが望ましい。季節指数や時間帯売上傾向は、その店舗のタイプによって異なる。たとえばビジネス立地、商業立地、ファミリー立地、学生立地などがそのタイプ分類としてあげられる。

企業として、あるいは一商業体としてその最終的な目的は利益をつくることである。 あるクラスの売上げの店舗が次のステップを目指す時、果たしてどうその過程をすすめるか。

例えば月商400万円の店舗がさらに50万円の売上増加を目指す場合、112.5%の成長率である。月商50万円ということは一日に直せば約16600円となる。一日の営業時間が14時間の店舗だと仮定すれば一時間あたり1185円。平均売上高を800円とすれば一時間当たり1.48人の客数を新たに獲得することでこの目標は達成できる。あるいは平均売上高を先ほどの800円とすればこの店で一日の平均客数は162.5人である。仮にこの50%である81.25人が100円多く購入すれば単純に考えて8125円の売上上昇である。

実例としてそれがジュース一本であれ、ライスの大盛りであれかまわない。そのために陳列に工夫を凝らしたり新規の顧客を常連客化する策を立てたり、店頭でのプラスワントークを実践するなどの工夫は経営者の腕の見せ所だ。 先ほどの112.5%成長の目標はその数字だけみると途方も無い冒険に思えるかもしれないが、細分化してみればそれは小さな積み重ねであることが分かる。ただ売上を上げろというばかりではパート・アルバイトになすすべはない。自分達は店舗の中にいるのだから、外からやってくる客数が小さいことは自分達とは関係の無いことのように思ってしまうからだ。因果関係がつかめなくなる。

だがそうではない。p/aの協力なしに目標の達成はありえない。ジュース一本のプラスワントークにしろ整然とした陳列にしろ、丁寧な商品の提供にしろ、ロスの低下、水光熱費の節約、スマイル¥0でさえ彼らの協力は欠かせない。

経営者がいくら一人で売上アップを叫んだところで、それは机上の理論あるいは妄想でしかない。 目標と目的、そしてその方法を簡単に分かりやすく、明確にしめして経営者のやりたいことを理解させてその協力者、実践者として引き込めるかどうかがポイントだ。それがジュース1本につながる。それはゲームである。その面白みを彼らが知っているかどうかで労働の質は全く違ってくるし、知らなければ、彼らにしてみても働くことがつまらない義務でしかない。どうすればもっと売れるかパート同士がジュース棚の陳列を試行錯誤しながら変えている姿を見れば、それはそれは感動してしまう。彼らの試みに経営者はその結果をデータとして提供してやれば、それはすなわちゲームのスコアだ。

一時的に売上を上げることは容易い。すぐに思いつくのはセールや割引券のばら撒きである。しかしその売上が一時的なものでしかないならば、経費の浪費にしかならないばかりか目的からはずれ逆効果にもなりかねない。難しいのは獲得した売上を維持することである。それがすなわちパート・アルバイトのレベルアップ、つまりは店舗のレベルアップである。目標が達成できたならそれに協力してくれた彼らに還元してやれるであろう。経営者と労働者は対立するものではなく協力者だとP/A、経営者双方が考えられる関係を作れるだろうか。

以前新聞のある特集記事でスターバックス・コーヒーのアルバイト採用に関する記事を読んだことがある。本部は1000円以上の時給でアルバイトを募集する。通常われわれが考えるよりもはるかに高い報酬だ。そしてそうやって採用されたアルバイトの中には自給にすれば社員よりも高い報酬を得るものもいるという実力社会だ。

当然その募集には非常に大勢の応募者が殺到する。そこから選ばれる人材は必然的にレベルが高い。レベルの高い人材しか採用しないのだ。そして働いているアルバイトたちは自分達がサービスすることへのプロ意識を持っている。 一人一人がなじみの客を持って自分の友人のように引き込んでいく。そうした「お客様」たちはなじみの店員のファンになって固定客かする。一杯のコーヒーを飲む場所、「カスタマーズ」はリラックスできる空間を求め、自分を満足させてくれる人とその空間を求めて、再びここへやってくる。本部にしてみれば、高い報酬を払ってもそれに見合うだけのメリットを手に入れられるのだ。

 
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